愛知県に本拠地を持つユニーのブランディング動画で起用されているシンガーソングライターの藤田麻衣子さんの歌声と情景が、なかなかにしんみりとさせてくれます。
ランドセルを購入するのは小学校に入る前。親元から離れて自分の足で行動し始める第一歩の時です。親としては子供の成長を一番最初に感じる時かもしれませんね。
また、ランドセルは一度購入すると一般的には卒業するまで継続して使用するので、企業として1ユーザーに買ってもらえるチャンスは一度しかありません。
その為、同業各社、様々な戦略を立てて販促を繰り広げています。
このユニーの動画戦略は他社とは異なりちょっと斬新だと言えます。
ではどのような動画か見てみましょう。
ストーリー
小学校に通う「1年生」の通学1日目のシーンを描いています。
子供を見送る母。元気よく手を振って出ていく息子。
母は嬉しいような悲しいような、複雑な表情をします。そして暫く歩いた息子は一度だけ母に振り返り少し寂しそうな表情を浮かべます。
その時の母の表情は本能としての「戻っておいで」と言う気持ちと、子供の成長のための「いっておいで」が要り混ざった複雑な気持ちを表しています。
そして振り戻った息子の先には通学班で待っている沢山の友達が手を振っています。息子は吸い込まれる様にその輪に向かっていきます。これから始まる子供の成長の早さや親を離れていく必要性を分りやすく表現している動画となっています。
この動画の狙い
一般的な動画広告は、ランドセルを使う子供が主役となる事が多く、子供の元気な姿を見せながらPOPな曲に合わせ、その動画の随所に機能性の良さやデザインの特徴を打ち出し、子供には憧れのランドセルを持って学校に行く楽しみを植付け、親には利便性の高さやおしゃれ感を与えるイメージに仕上げています。
そして動画広告を見た購買層は商品を認知し、記憶した上で店頭で商品を手に取ります。
しかし、店頭には他社製品も数多く並んでおり、比較検討しているうちにどれが良いのか差が分からなくなりがちな為、このような動画広告では他社との差別化にはつながり難いと思われます。
しかしこのユニーの動画広告は子供ではなく、実際にお金を出す親に評価される動画広告に視点を置いております。
自分も同じ経験をしている親の気持ちを上手く紐解いた表現による感動ストーリーで共感を与え、企業に好感を持ってもらうことで商品の前に企業に好感を持ってもらうことでブランディングに繋げる施策と言えます。
販売の信頼があるメーカーだけに既に商品認知されているので最終的な購買への後押しとして効果的なマーケティング戦略だと言えます。