ヤマト運輸が近年TV CMで「宅急便コンパクト」の認知促進を行っています。
メインキャラクターとしてタレントのTOKIOを起用し、自社のクロネコキャラクターとのコラボ展開として訴求活動をしています。
このところヤマト運輸は企業キャラクターであるクロネコを使った露出が多い気がしますが、なぜ企業キャラクターを全面に打出した広告が多いのか、その背景を考察します。
動画ストーリー
宅急便コンパクトと言うサービスの訴求ですが、このサービスの使い方は、折り畳まれた箱を購入し、組み立て、郵送物を入れ、封をしてヤマトに出すというユーザーにとっては簡単なサービスです。
安価なため、ヤマト運輸は高い普及を狙っています。
しかし、宅配業界は日本郵政の民営化に伴い、各社顧客獲得競争を繰り広げ、ヤマト運輸は他社に先駆け、先手を打って浸透させたい狙いがあります。
過去の実績を踏まえ、ヤマトの強みである個人宅配で一歩抜きん出ている強みを活かしたい考えが垣間見えます。
そして動画のストーリーは至ってシンプル。
このサービスに使う「箱」を組み立て、郵送物を入れ、封をする簡単作業を認知させる動画です。
普通で考えればサービスを受ける「人間」が作業をすればよいのですが、それをあえて「クロネコ」にやってもらっています。
この動画の狙い
この動画はCGなどを使っていないので、どれだけの苦労があったかは不明ですが、両面テープ剥がしから中身を入れて封をするところまで全てクロネコがやっています。
この動画の醍醐味は「猫が作業をする」ところです。
猫の「一発芸」的な要素が強く、視聴者は思わず最後まで見たくなってしまいます。なぜ猫に?と思う方も多いと思います。
しかし、企業広告としてはそれでいいのです。
このような面白い(話題性に繋がる)動画を公開することで視聴率が上がり、さらに今では視聴者が情報を発信できるインフラを持っているため、簡単に情報拡散が狙えるのです。
またそれだけではなく、同時に「猫でもできる簡単さ」というイメージの植え付けにもなりますので視聴したユーザーは知らずと脳裏に植付けられてしまいます。
ヤマト運輸はこの動画以外でも「クロネコ」を全面に出した広告を多く展開しています。
「ヤマト=クロネコ」というのは幅広く認知されているブランドです。
クロネコを大々的に起用することで理解促進させるには最も有効な手段だと考えたのでしょう。
昨年(2015年)には同じ「宅急便コンパクト」のサービス告知で新宿駅に大型のクロネコオブジェを使った広告展開を行ったり、インパクト重視の販促に予算をかけています。
これもリアルメディアからデジタルへの拡散を狙った施策といえます。また、近年の猫ブームに則ったトレンドも意識した展開で高い話題性を狙っていることが想定できます。
このような施策は、近年注目をされている「コンテンツマーケティング」の象徴とも言えます。
今後のヤマト運輸の販促展開がクロネコをどのように活用していくのか注目していきたいと思います。